講談社 (2004/12)
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文圧
「読んでるとき」はおもしろい!
推理小説?じゃないよね
今まで触れたことのない文体。思考の流れが明確な一人称。壮絶なアクション。あっさり明かされていく数々の謎。段落分けの少ないページ辺りの密度の濃さ。これらは確かに新しい。段落分け少ないのは明治期小説にもあるけどね。『吾輩は猫である』の序盤も段落少なかったような気もするけど手元に本がないので確認できず。段落に関しては新しくはないけど、昨今では目新しいだろうね。
「思考の流れが明確」と書いたけど、整然とした流れではない。普段我々が何かを考えるときに一つのことだけを考えるわけでもないし、思考の断絶もあり、割り込まれる思考もある。電車の中で早く目的地に着かないかと思いながらも吊革広告眺めて今週のグラビアは誰だろう近くにいる娘たちがかしましいあのおねーさん綺麗だなと一貫した流れがあるわけでもなく間断なくなんらかを意識して思考する。小説に限らず文章というものは誰か他者を意識して書く者だから、読み手が分かるような書き方をするのが通常。本来の意味での日記も「自分」という他者に向けての文章で後日読み返しても意味が通じるように書かれるもの。散漫な綴り方では何を伝えたいのかが分からなくなるもの。しかし、四郎の一人称は現実世界での我々の思考に近いということで「明確」と記した。次々と出てくる謎をはっちゃけて解明。解明までの過程を記した上で「私」に解明理由を開陳するのが常だが、過程を省いていきなり解明。謎のヒントもろくに提出せずに一気に解明。理由もあっさり紹介して次行ってみよう。うーむ、これはすごい。
とはいえ、俺はこの作品のミステリ部分よりかは奈津川家の過去の話(二郎と丸雄の対立とか)のほうがのめりこめた。回想シーン終わって物語の現在時間軸に戻ると「あ、終わってしまった」となってページを繰るのも機械的。真相も「ふーん」な感じでこの人はミステリはそんなに書きたくないんだろうな、という印象を受けた。近作読んでないからなんとも言えないけどミステリではなさそうだから、デビューのきっかけとしてミステリを選んだに過ぎないのかもしれん。ミステリ部分は退屈に感じてしまったので文学方面の方が俺との相性もいいかもしれん。文学なのかどうかは知らないが。国文学専攻していた癖に文学の定義も分からないからねぇ。文学って何かね。
文庫版p323辺りからの四郎の行動が印象的。それまで語られてきた家族の話を踏まえるとどうにもこうにも切なくなる。スピード感も伝わってきた。この文章の書き方でなけらば得られないスピードだ。
舞城初読だったけど、講談社ノベルスの頃からチェックしておけばよかったよ。でも、ミステリ部分がろくに頭に残ってなかったり。
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