講談社 (1999/10)
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再読完了。今回も忘却していたので楽しめた。改めて表紙見てみたけど(普段は書店のブックカバーつけているので余り見ない)これ結構悪趣味ね。
序盤視点が章毎に変化。時系列がよくわからないので同軸上なのかなぁ、と思うも金田視点と亜紀子視点ではズレがある。編集者福田視点も古いものと分かるので物語の現在時間軸は亜紀子のものと分かるまで眩暈感。前作までの知識ないと登場人物が何言っているのか分からないので、これだけ読んだ読者には頭に入りにくいものとなりそう。単品でも楽しめるけどこのシリーズはやはり順番に読んだ方がよいだろう。新刊書店では入手難しいみたいだけど、古書店とかだとシリーズ全部丸ごと置いてあったりするので利用するといいやも。
それぞれの視点で発生する事件はバラバラのようでいて収斂していく。ミステリにはよくある手法で、前作と似たような構成でもあるけど、それを言ったら他の作家の面々も同じようなもんだし。浦賀作品の浦賀作品たる所以は「ミステリの意匠借りて小説する」というような印象(個人的見解)なので瑣末な問題。世界における個人の立脚点の無根拠さ具合をどのようにして描くか、ということにミステリの外観借りているように思っている。今の講談社ノベルスだと「新本格ミステリの牙城」的なニュアンスはなくなってしまったけど、当時はまだ牙城だったと記憶。「講談社ノベルス=ミステリ」ということで意匠なりコードを使っているだけで、別の版元でハードカバーとかだったらミステリとしては扱われなかったり書かれなかったりしたかもしらん。ハヤカワとかだったら SF とかね。
ミステリとしても楽しめ、本作では唸った伏線も二箇所あった。フェア/アンフェアの観点で考えるとどうかなぁ、他の新本格屋さんたちならもっと書き込むだろうなぁ、と思いながら読了。これはこれでいいと思うけど。
作品全体に漂う厭世感は毎度の如く健在。また登場人物の女の子たち泣いているし、誰かは狂い始めるし。他の作家が書いたらそんなに簡単にぶっ壊れるかね、と思うような内容だけど浦賀の手にかかると壊れて当たり前に読める、そんな世界。行きたくないけど。フィクションでよかった。しかし、身近にそれらの世界が転がっていないとも限らないわけで、何かの拍子に紛れ込んでもしたら壊れた方が楽そうだ。ちょいと留美が「安藤君」「安藤君」とうるさいけど。遍在しているようなもんだから仕方ないのだろうけど少々鬱陶しいと思ったのは偽らざる感想。
トランスセクシャル、ジェンダーなどが今回のテーマでもあったけど、分からないものは分からない。想像で補うことをしようにも想像ができない。できても補うだけだから実感として沸かないしねぇ。普段からこの手のことに意識的でないと読み進めるのが辛そうではある。意識するも何も最近の俺は他者との接触がすくないので性差以前の問題です。対他者。性差への関心は他者との意識を高めてからでないと向かわなそう。もちろん、そんなことを意識せずともこの作品は読める。読み方なんてそれぞれだからねぇ。
今回はネタバレなしで書こうと思っていたので挑戦してみた。ネタバレ感想というのは「読み終わったけどよく分からないから誰かのネタバレ感想みてみよう」という方向けに書いているというのと、自分が忘れっぽいから物語の断片でも記しておかないとならないという情けない自分の記憶回路のため。「ネタバレじゃないと感想書けない人とか書評家はダメだ」という方もいるだろうけど、断り書きがあればいいんじゃないかなと思っている。それと感想にネタバレ厳禁はいいとして、問題は書評家。文庫の最後にひょいと掲載されている軽い解説とかでなくて(軽くない解説もあるけどね)、重めの論文なんて書こうと思えばネタ割らずに書くなんてことはまずできないのではないか。作者と評論家の真剣勝負な場なのだから、作者が描きたかったテーマが解決部にあった場合割らずに論ずることなんて難しいだろう。あれこれそれ連発の曖昧な論文書かれたところで読む気もしないし評価の基準になどできない。
ということで「ネタバレも時と場合」ということを言いたかった。ここでネタバレする理由は最前記したままで変わることはなし。ネタバレなしの感想見たい方は「以下ネタバレ」文字列以前までの文章がネタバレなし感想となっているので、そちらを参照してもらえば幸い。ネタバレなし感想で閲覧者にうまく伝えられるのが理想ではあるので、それを実践できている方々はすごいな、と思う。一行「面白い」「つまらなかった」とか書かれるなら書かないで欲しいというはあるが。
# ネタバレの話は別記事にでも書いておけばよかったか。
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