どこまでも殺されて
どこまでも殺されて
posted with amazlet at 05.05.27
連城 三紀彦
新潮社 (1995/07)
在庫切れ
おすすめ度の平均: 5

5 さすが・・・
5 さすが・・・

久々連城作品読了。七度殺された「僕」の手記。今度は八度目に殺されるという。高校では生徒の誰かが教師に匿名で「助けて」というメッセージを残す。助けを求めているのは誰か。そして、七度も殺されて生きており今度また殺されるなんてことが起こり得るのだろうか。

SF 的な謎の提示で、西澤保彦の『七回死んだ男』を連想させるけれど、こちらの方が先行。その上連城なので SF 的な解ではないはず、と読み進める。昨今では恋愛小説家というイメージがついている連城だけど、出身は幻影城。ミステリを書かせたら一筋縄ではいかない。結末には現実的な解が用意されていた。謎の提示が大掛かりだったので少々残念な思いも残るも、この物語のテーマは「殺されていく若者」ということにあるだろうので目を瞑る。

若い頃には進むべき未来に対して複数の選択肢が用意されている。端的に記せば「進路」。年を重ねるに従い、才能、時間、環境などの要因で進路の選択肢は減っていく。この状況を「殺される」という状況と捉えるならば「どこまでも殺される」ことになる。「殺されて」いくことで我々は生活をしていくことになり、それに反発することに「青い」という表現を当てていくのだろう。青さを失うこと即ち「殺されて」いくこと。そうして我々は生きている。それがいいことなのかどうかは分からないが、生活するにはなんらかの収入源を確保しなければならないし、それには自分を殺す場面も必要とされる。反発できるのは可能性の数の多い若者だけだろう。

作品に触れると、解決部がいささか冗長に思えた。そこまで分量割かなくても、という感じ。初出が雑誌掲載だったようなので原稿の関係もあったのか、と余計な詮索をしてしまうのはよくないのだろうな。

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